できない人の発想

生き方

17年間広がらない理由わけ

あんしんサポート葬儀支援活動を行いたいと伝えて来られた団体や個人は20以上ありましたが、最終的に立ち上がった人や組織はひとつもありませんでした。

結論から言うと『できない』と自分で諦める人はできない、若しくは立ち上がったとしてたも長期に渡って続けられるとは思えませんから、あえて引き止める事はしませんでした。

受講者要望で研修会

あんしんサポートは2008年6月NPO法人葬儀支援センターとして設立、当時は民主党政権だった事もありNPO法人を通じ全国規模のイノベーション新分野の新規事業応援事業があり、書類申請者は1,000件以上、その中から最終審査に残った100案件ほどが10分程のプレゼンと質疑です。

イノベーション企画に合格すれば返済無用の助成金100万円を受けられる為、当時あんしんサポート事業を始めたいと言ってた2名に基本理念を教え、後は自分の思いをぶつけるよう伝えましたが書類審査で不合格と分かり急遽エントリーしました。

目的は葬儀支援事業の必要性を全国に訴えられるチャンスだからでしたが、そんなきっかけから千葉県2市の市会議員がNPO網を通じて全国から数百名の人を都内の飯田橋に集めてくれ、2時間の単独後援会を開催してくれました。

後援会後の食事会で多くの皆さんから研修会を希望され20名ほどが参加され実施、初日の自己紹介の時、高崎市の方から電話で息子さんが自殺との依頼、突然でしたが実践訓練に変更、くれぐれも邪魔にならない言動をと釘を刺して移動です。

依頼先の自宅に到着すると1名来ておらず確認「自殺死体なんて見られない」と帰ったと聞かされ『何の研修に来たんだ!?』と思ったり、依頼者宅での態度を見るだけでも、葬儀支援に向いてない人だけは分かる事を教えられました。

研修会では宿泊費だけは各自の自腹、それ以外の費用や諸経費は先の助成金で賄えたので審査員の前でのプレゼンと質疑応答も無駄にはならず、参加者の中から1人でも葬儀支援センターを立ち上げてくれる人がいたらとの思いで研修会を進めました。

老人部隊で来県

研修会から数か月後、参加者の中で最高齢だった方が他県から10名ほどで来館されましたが、全員が60代~80代という老人会のような男女の楽観的な発言を聞き、まずは葬儀支援の現実を教えるべきと駐車場でストレッチャー体験をして貰い室内で以下の点を伝えました。

① 24時間の仕事であること
② 365日、日曜祝日は勿論のこと正月もないこと
③ 一睡もできない事も珍しくありません

まずは伝えた事を持ち帰り各自でじっくり考えた上で、本当に葬儀支援センターを立ち上げたいと思う覚悟の人数が確保できたら連絡をくださいと伝えましたが、自分には無理という人のほうが多かったようで立ち上げる事はできませんでした。

押さない理由

研修会後の結論は誰一人として立ち上がる事はありませんでした。

後者団体は年齢と体力的な問題と実態を知らないからですが、全国から集まった人達が立ち上がれない理由は全て同じ「5万円直葬プランは赤字で出来ない」でしたので、それ以上押したり勧めたり、説得することは一切しませんでした。

直葬5万円プラン内容

① 病院等へのお迎え搬送(2名体制・安定枕付搬送シート)
② 48時間安置できるドライアイス
③ 線香具一式(教机)
④ 6尺山型フタ付白布棺
⑤ 7寸骨壺(銀貼箱入)
⑦ 死亡届出代行(コピー1枚)
⑧ 安置所~火葬場まで棺搬送
⑨ 斎場案内スタッフ
⑩ 全行程人件費
⑪ そして個々の家族に最善と思える各種死後手続きアドバイス

このプラン内容を見て原価を単純計算したって5万円で儲かると思える神経のほうが普通じゃない、でも問題はそこではありません。

弱者を救うために無理を承知で設定した5万円の直葬プランでさえ、儲けようとする人達に弱者目線の葬儀支援ができるでしょうか? 続けられるでしょうか?

5万円の提供が赤字なら、いくらの設定にすべきかと考えるのは支援でなく商売の発想だから葬儀支援でなく葬儀屋としてやれば良いと思う。

一銭も無くても国保からの葬祭費5万円だけで骨壺に収まれたら助かる人が大勢いる――、の発想から設定したプランだから値上げの検討より、いくら補填すれば5万円火葬は可能かと発想できる人間でなければ本物の葬儀支援などできません。

ましてや、この段階ではすでに「墓閉じ」「安置施設」「散骨場」「家族葬」の全てを超低料金で施行する計画を立ててましたから、必要な人にとって最後の砦ととりでも成りうる5万円プランでも儲けが無ければできないと判断する人ではとても着いては来れません。

もっと言わせて貰えば5万円直葬プランは葬儀支援事業のゴールでなく、全国で初めての葬儀支援センターとしてのスタートラインでしかないのです。

できない理由を

35年間社長業をして、それ以前は法人役員やサラリーマンでしたが「資金がない」「人がいない」「場所がない」「時期が悪い」と出来ない理由、出来なくても仕方がないと言わんばかりの否定派の人達も沢山見てきたけど、この手の人達は一生自分で事業はできないと思う。

自分の経験則で言わせて貰うと、以前の美容業、あんしんサポート葬儀支援センター、いずれも「金」「物」「人」を始めとして全てが揃っていた経験は無く、特に資金に対しては全くと言って良いほど無い状態ばかりでしたが、迷ったり立ち止まった事は一度もない。

でも無理を承知で立ち向かう人間が良いと言ってる訳ではありません。人にはそれぞれ向き不向きがあって、数種でなく数十、数百もの選択肢があり、その中から自分にとって最適な道に巡り合えたり、選択できた人は人生を謳歌したと言えるんだと思う。

但し、仕事に関してだけの事ですけどね。

コメント