諦められない

葬儀実践

利益最優先と建前

サラリーマンは会社が敷いたレールを走り、会社が目指したゴールを目指して社命を遂行する以外の選択肢はなく、個々の思いや意思は関係なく第一目的は『会社の利益』です。

利益追及は一般事業である葬儀社も全く同じ、会社が大きくなるに比例して経費は増大するから低料金での施行は難しくなり一定以上の規模では不可能となる。

人の命を救いたい人達は医師や看護師、子供達が好きな人は保育園や幼稚園、老人や障碍者の力になりたいい人は施設勤務を希望されるように、過去の経験から家族目線の葬式をしたいと葬儀業界に飛び込んだ人達もおられるでしょう。

しかしどんな業界に於いても純粋な思いだけで歩けるわけでなく、業界の体質、経営者の基本姿勢等で建前と本音が異なる現実がいくらでもあるのは様々な報道でご存じの通り、葬儀業界も同様で実態に幻滅して去った人もいれば、業界に染まった人もいるでしょう。

僕の人生で葬儀業界ほど建前と本音が異なる業界は知りません。それか葬式を経験された家族も理解できるほど、40万円の見積もりが家族が納得できないまま100万円の請求となる業界など他にあるのでしょうか? 読経と戒名で50万円を当然の如く請求できる人が宗教者でしょうか?

「朱に交われば赤くなる」と言うが『交わらなければ弾き出される』のが企業「全力投球の回」で書いたように、その主張が正しいか間違ってるかでなく、経営者の意思より優先されるものはなく従えない者、異論のある者は、そこに留まるべきでなく留まれないのが企業です。

この公式は組織が拡大するほど強くなり、最も強いのは最大組織の『公務員』ではないだろうか、変えられるとすれば国なら総理大臣、県なら県知事、市なら市長になるしかなく、企業で言えば社長になれば思うように動かすスタートラインには立てるだろう。

個性が強いというか、癖が強いというか、長いものに巻かれないタイプの人間だからサラリーマンでなく経営者の道を歩き出し35年になってるのだろう。

美容業界でもそうだったように葬儀業界でも同様、当初目指したのは国保からの葬祭費5万円で骨壺に納まれば一銭も無くても死ねる『一銭も要らない葬式プラン』でしたが、実現までの3年間で業界実態を知れば知るほど次々と目標が湧き出る期間でした。

2025年現在設定の各プランは2008年設立から3年後の2012年には、全て目標案件として頭の中にあったものばかりでしたが、業界の実態と余りにかけ離れた内容だった事から、一部の業者さんにも話しましたが聞き流される現実でした。

想像以上に違和感のある葬儀業界

52才までの僕は皆さん同様、葬式は坊さんが祭壇の前で読経するものと思ってましたが、僧侶は布教と地域の人達の役に立つ事を旨とする人だと思っており全ての住職が「布施はお気持ちですから」と公言してましたから、寺の謝礼は本当に気持ちだと思ってました。

老人達の言う「いくらあれば死ねる?」の言葉、初めは理解できませんでしたが、寺が30万円~50万円の布施を要求、葬儀屋は40万円と堂々と謳いつつ平気で100万円を請求する現実でした。

寺の布施原価は『自分の人件費だけ』と言っても過言でないほど原価率は超低く、わずか1時間の葬式祭壇に数十万円の供物や生花を飾る意味も理解できず、火葬中に馬鹿高い料理を食ったり、1万円包んで欲しくもない5,000円の返礼品なら5,000円包めばいい事です。

もっと言えば、読経戒名で生き返る訳でなく、無信仰者の僕には読経の何処が供養かも理解ですが、葬式で飾る供物類の何処が供養なのかも分かりませんが、全ては家族の為でなく業者が創り出した風潮や寺の利益でしかない事だとは分かりました。

バレンタインのチョコ、遅れてホワイトデーの菓子、もっと最近では節分の恵方巻など、業界が創り出した戯言でしかありません。ただ人を傷つけたり苦しめたりするもので無ければ、どうでも良い事だけど、それを葬式(人の死)に持ち込むべきではありません。

生活苦の人達も沢山います

2025年、1万か所を超える子供食堂があり、利用者の多くは生活苦から腹一杯食べられない子供達や家族がいるという事、皆さんが思ってるほど日本は豊かな国でなく、不況が35年以上続き過去の栄光などとうの昔にありません。

戦後と呼ばれた期間から、東洋の奇跡と呼ばれた経済発展支えてきた団塊世代が終幕期に入った今、老いた両親の面倒を看るのは当然の時代も終焉を迎えた事から、老人家庭が増え配偶者が終幕を迎えれば独居老人生活、されど年金は半分以下という実態です。

NHKがテレビ取材と放送してくれた事から、余裕の無い家族を中心にした葬儀支援活動に特化した事から、余裕の無い家族の実態を知れば知るほど、せめて死後費用の不安だけでも取り除いてあげるだけでも余生を少し楽に生きられる事も知った。

2025/03現在、直葬プラン¥75,000(¥68,182+¥6,818)でも大変な家族はいくらでもいるのです。あなたは金の無い人生経験はありませんか? それは好き好んでた訳でないでしょ? 辛かったり、自分が惨めだったりしませんでしたか?

僕も稼業の倒産で坊ちゃんから一夜にして生活が変化したり、都内に住んでた頃50円しかなく、キャバレーのボーイ募集に応募、ホール掃除、おしぼり丸目めなど雑用後、食事を食べさせて貰って休憩時間にとんずら、、、を毎日してた時期もありました。

諦められない

金が無いとは、単に金が無いだけでなく、自信も無くなり、惨めな気持ちになり、卑屈な発想にもなり、世間を歩くのさえ辛いんです。幸いにも若かったから総合病院の窓の明かりを見て叱咤激励で乗り切れましたが、手助けすが必要な人達だったいるのです。

『老人』や『障害』のある人達はそう簡単ではありませんし、仮に働ける人だとしても文句を言う前に手を差し伸べてから叱咤する方法もあると思う。暗中模索してた頃の自分を思い出すと、言いたくもない本音と真実を語ってくれた人の事を考えると諦められないんです。

企業化できる時期はあった

NHKで全国放送、新聞記事、講演依頼と騒がれた『旬』には大阪のNPOが来て、あんしんサポート事業を全国展開させて欲しいと来てくれたり、いくつか話もありましたが、直葬プランが15万円になると言われ企業化を断念したのは安い葬儀屋がしたい訳ではないからです。

当時は5万円直葬プランしか実現化されてませんでしたが、僕の中には『墓閉じと山林散骨』『直葬+散骨』『低費用の安置所』『20名程の小さな式場』『50万円台の一般葬』そして最終目標『17万円の家族葬(読経・戒名付)』まで涌いてました。

実際はもうひとつ『葬儀社に見劣りしない施設』もありましたが、年を追う毎に無理である事と無用である事も分かり、施設関係については転居話が突然無くなったのを機に企業化より、行政が葬儀支援の道を創らねばならない時代の指標を創る発想に切り替えました。

安かろう良かろう

安かろう悪かろうでなく、高かろう良かろうでもなく目指すは『安かろう良かろう』だけ『超低料金・高品質・最適アドバイス』の葬儀支援を創り出す事でしたから、事前に原価計算した事は一度もありませんでしたが、その前提として経理業務を千明に教え完全に任せました。

僕自身が経理の詳細を把握してたら、どうしても原価計算が浮かび5万円直葬プランの実現は不可能であると思った事から、3年間は教えましたが経理経験の無い千明が決算まで出来る能力と覚える気力を要してたのは大きな原動力でした。

安かろう良かろうは、下記内容の直葬プランが国保から支給される葬祭費5万円だけで可能になれば『一銭も要らないお葬式』になることでしたが、現実は想像以上に厳しく倍額の10万円でも出来ない状態からの出発、お先真っ暗でした。

直葬5万円プラン内容

① 病院等へのお迎え搬送(2名体制・安定枕付搬送シート)
② 48時間安置できるドライアイス
③ 線香具一式(教机)
④ 6尺山型フタ付白布棺
⑤ 7寸骨壺(銀貼箱入)
⑦ 死亡届出代行(コピー1枚)
⑧ 安置所~火葬場まで棺搬送
⑨ 斎場案内スタッフ
⑩ 全行程人件費
⑪ そして個々の家族に最善と思える各種死後手続きアドバイス

当時は安置施設もなく、自宅安置前提、葬儀屋施設を借りると1日5万円~7万円だった。いしずれにしてもこのままでは目標など達成できないと無理は承知で¥89,000+税を公表した結果、利益と人件費は捻出できませんが、5万円で何とかなると公言しました。

「やり遂げる」だけ考え続けた3年

できるか?、できないか? と考えたら「できない」答えが出るのは明白、なら「やり遂げる」事だけを考えて進んだほうが良い、まずは抑えられる経費は全て抑える事から始め、当時は美容業の経営者でしたから多少のマイナスでも構わないと考えました。

次から次の目標があったから

結果論だけど、もし『5万円直葬プラン』しか考えて無かったら達成しなかったと思う。支援センターがすべき目標だけは次から次と浮かぶとは、常に2つや3つの目標を同時進行してますから、実際には次なる目標となった『散骨場』のほうが先に取得したのです。

ホームページの「会社・沿革」を見れば解るに直葬プラン完成の1年前には散骨場を取得して最初の散骨も開始してるなど、全てのプランが絡み合ってたから、考え込んでる暇が無かったのも迷ったりせずに済んだ要素なのでしょう。

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