家族で異宗教
群馬県在住の妹一家は『クリスチャン』、北陸在住の姉夫婦は『仏教徒』、故人は3年前から群馬県に移住して最近は施設入所、移住前は北陸で一人住まい、同じ県内の姉が面倒を看てきたそうですが、事前入会してあったので午前3時30逝去の一報でした。
夫婦揃ってクリスチャンなので安置室での納棺安置を済ませ打ち合わせ、翌々日が友引となるが翌日の朝一火葬炉で最後1つの予約が取れた。
姉夫婦はいつ来県予定が尋ねると、今日の午後には来るというので翌々日の火葬で問題無さそう。
「今回は特殊な例で通常なら受けない依頼」である事を伝えた上での提案でした。
北陸は特殊な地域
檀家数は一番多いと言われる浄土真宗ですが、群馬県も含め関東人には滲みの薄い宗派に対し、北陸は浄土真宗檀家の多い特殊な地域、更に仏教信仰の強い新潟県の上杉謙信の影響も強い地域、自宅に仏間があるのは当然のような地域です。
嫁入り道具に金が掛かり『娘が3人いれば身代が潰れる』と言われ結婚式も派手な地域ですから、群馬県に半世紀近く住んでる妹さん夫婦とは信仰も異なるので尚更のこと、遺骨は小さな骨壺3つに納め各所に納骨という関西でも珍しい遺骨処理です。
提案した葬式の流れ
姉妹で信仰が違う事から、群馬県では翌日の午後から当方あんしん館でお別れの時間をとり、翌々日の朝一火葬を行い、拾骨は2.3寸骨壺3つに分納、骨壺は持ち帰り故人も信仰してた配偶者の墓に入れ、必要であれば仏教式を行えば良いと提案しました。
この方法なら「式」を行ったとしても仏教式のみで異なる宗教儀式にならず、クリスチャンも仏教徒も納得できる葬式になるでは? と考えました。
逝去翌日午後4時~お別れ
午前中は用事が入っており早くても午後3時~の想定、実際は午後4時~お別れ会でした。
① あんしん館式場仏
② 仏教徒のみ『末後の水をとり』『線香を供えます』
③ 生花(別注¥13,000 棺一杯の生花)を全員で入れます
④ 故人が持っていた読経本を入れました
⑤ 故人が好きだった甘納豆を入れました
⑥ 納棺された故人の写真、家族達と一緒の写真撮りました
⑦ 棺の周囲で思い出話を沢山しました
⑧ 棺のフタは全員で閉じました(仏教徒のみ合唱)
⑨ 翌日午前9時20分斎場売店前集合
⑩ 火葬炉のある部屋で最後のお別れ、棺のフタを閉じます
⑪ 仏教徒のみ合唱して火葬炉へ
⑫ 仏教徒のみ焼香、着火後は待合所で待機(7名)
⑬ 火葬中は仕事手続きのアドバイス(要1時間)
⑭ 拾骨は僕自身が先導、全員「素手」で拾骨です
⑮ 拾骨後はアルコールで消毒して終了しました
仏教徒とクリスチャンと信仰が違いますが姉妹ですから、互いに歩み寄る姿勢があり、施工担当者がどちかに片寄ることなく平等な感覚で対応すれば、異教徒でも葬式はできるものです。
2日間は全員が和やかで最後まで温かく送れる葬式になってくれました。正直なところいつも以上に神経は使ったようで終わって事務所に戻るとドッと疲れは出ましたが、今回の提案と実際の流れは僕以上に家族や姉妹が称賛してくれるものでした。
葬式の根底は家族との別れ
葬式=宗教儀式と認識されてる方もおられるようですが、根底にあるのは『家族との別れ』であり、自分の主張より互いに相手の事を考えられる思いやりさえあれば、揉めたり喧嘩することもなく、笑顔で温かく送れるもの ――、と改めて学べた葬式でした。
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