9割以上は6尺棺で大丈夫

葬儀実践

既製品の棺は3サイズ

棺の既製品には「6尺」「6.25尺」「6.5尺」の3種類があって内寸法を見て分るように「176cm」「185cm」「189cm」ですから、葬儀屋によっては170cmの故人だと6尺では入らないから6.25尺と言われるかもしれませんが結論から言うと190cmでも6尺で納まります。

【6.00】外寸法 1805x530x465mm 内寸法 1760x490x420mm

【6.25】外寸法 1895x530x465mm 内寸法 1850x490x420mm

【6.50】外寸法 1940x580x465mm 内寸法 1890x540x420mm

制作メーカーにより1cm~2cmの寸法誤差はありますが、6尺175cm、6.25尺185cm、6.5尺190cmと覚えおけば良く、死体は足首を曲げてる事もあれば、足先をピンと伸ばした状態なら身長+15cm~20cmも普通にあり得ることです。

という事は170cmの故人なら最大の6.5尺でも足らない可能性大、でも葬儀屋は特注しましょうとは言いません。特注してたら葬式まで間に合わないからでしょうけど、もうひとつ故人の膝を少し曲げてあげれば納まるからです。

って事は曲げる膝の角度を少し調整すれば190cmの故人でも6尺棺に納まるって事と、葬儀屋によっては棺のサイズ変更は数万円高額になる事も珍しくない事と、焼骨は斎場職員達が箸でバラバラに崩してから、皆さんの前に運んでの拾骨です。

僕の主観ですけど、納棺された故人は布団を掛けるから周囲からは見えませんので、抑えられる費用は抑えても良いと思ってます。3千数百件の支援活動の中で6.25尺2回、6.5尺2回使用したけど、いずれも100回以内の事、6.5尺は120~130㎏の人、6.25尺は185cm以上の故人でした。

この10年間は全て6尺棺でしたが、体重130㎏の故人もいれば、身長190cmハーフの牧師さんもいたけど全く問題ありません。もしあるとすれば家族の感覚でしょうか。

★ 2025年現在主流は『6尺山型蓋付布棺』です
『山型蓋付棺のメリット』
★ 太った故人でも合掌が組めます
★ 口閉じで頭部を高くする事ができます
★ 帽子好きの故人でも被せてあげられる
★ 当支援センターの「棺」は、これ一択です
★当支援センター単価¥25,000(税込)

「棺」「ご遺体」ともに火葬されます

ある時、群馬寄りの埼玉県にある様々な人種の人達が集うキリスト教会から、SOS電話が入り福島県にある教会の牧師さんが来県中に倒れ、群馬県内の病院に搬送されたが逝去したので助けてください。と言われたので状況確認から始めました。

確認した事項

① 故人の親族確認
② 火葬は何処でする
③ 費用問題
④ 葬式の有無
⑤ 遺骨はどうするのか

離婚しており死亡届出人はいない、火葬は病院医院長が届出人になれば伊勢崎聖苑なら無料火葬可能、金は無いが火葬代は教会で何とか捻出、葬式は教会で行う、母国に送り散骨してあげたい。

以上を確認すると、我々が病院に到着するまでに、病院で事情を説明して、医院長が届出人になってくれるようお願いするよう伝えると搬送準備に入りました。

連絡から1時間後、教会に布団はありませんから棺を持って隣接市の総合病院に到着すると想定以上に故人は大きく身長190cmと聞かされ『6尺で入るだろうか、、』と不安はぎったが「膝を曲げれば入るからね」と信者さん達の手を借りて納棺したが問題無く入って驚いた。

ところが届出人には成れないと言われたと聞き、病院事務所に行って事務長に「お金もなく」「福島県に帰っても福祉課にお願いするしかなく、火葬までに時間が掛かれば費用問題も出る」ので何とか医院長に届出人の許可を頂いて欲しいと交渉してようやく受理してくれた。

教会での葬式は「バンド演奏会ですか?」と思うほど賑やか、斎場ではギターでアメージンググレースの大合唱、そして粉骨は教会関係者に渡したので海を渡って散骨されたでしょう。

偶然からの産物

身長190cmと聞いた時は驚きましたが咄嗟とっさに出た「膝を曲げれば入りますよ」は予想以上にスムース、膝は結構曲げますが山型蓋付だから見た目は問題ありませんし、出来るだけ費用を抑えてあげたくて、届出人が市民なら無料の市を選択したり棺も6尺にしたんです。

この経験が無ければ190cmと言わず、180cmの人でも何も考えることなく、当然のように6.25尺を勧めてたでしょうから色んな意味で良い経験でした。

僕なりの価値観

葬儀支援の現場を担当してきた者として僕の中には1本の線引きがあります。世間的には存命中と死後を同じ目線で考える傾向が強く、終幕後は看護師でさえ「寒いよねぇ」と言いながら布団を掛けたり、生きてる人の価値観で判断されるのが普通です。

でも僕は「生きてる人」と「死体」は選別してるから、普通「ご遺体」と書くのに「死体」「遺体」と書くのです。「寒いよねぇ」は温もりが必用な人には大切な気遣いのひとつ、でも死後最優先すべきは腐敗を進行させない『死体保全』だと思ってます。

だから布団安置より、納棺安置のほうが保全効果は高く費用も抑えられ、今思えば余分な費用も抑えられる事も分ったり、生活を守る協力やアドバイスを優先して欲しい家族もおられます。

周囲は「故人」「故人」と言い、家族には「頑張れ」「それが当然」と言うのが極々当然の世の中ですけど、残る家族を優先する人がいても良いんじゃねぇ!? じゃないと周囲の無責任な言葉に悩まされたり、生活に影響の出る家族だっているからね。

一般論で言えば担当した施行数17年で3千件は異常なほど多い、しかも全ての担当を家族目線で貫けたのは、葬儀社勤務経験ゼロのまま、ど素人で現場を担当しゆっくり考える時間さえなく、家族目線のまま業界に染まらず過ごせたラッキーのお蔭です。

今回は「棺」でしたが、他にも沢山ありますから、僕が葬儀業界の常識で嫌いなところ、絶体に間違ってると思うこと、改善すべき点では先述した「納棺安置一択」もそのひとつです。

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