2時間の事前相談

葬儀業界

突然の依頼断った16件目

前々回「葬儀屋の姿勢を知る」で内情、故人への思い、家族の感覚、財布事情、家族の価値観など、何も知らない家族が満足してくれる葬式など出来るはずがありません。と書きましたが、今年に入って受けられなかった依頼件数が16件となりました。

このペースで行けば年間60件を超える流れ、きっと当方対象となる家族もおられたはず、それでも突然の依頼は受けないのは、事前相談・事前入会者の必要性を理解しておられないからですから、改めて記載しておきたいと思います。

「例1」具合が悪く病院に行ったら

病院に行くと受付で「うちは名医ですから大丈夫ですよ」と言われ診察室に通される。
医師「どうされました?」
貴方「熱っぽいんですけど…」
医師「あっ、風邪ですね。注射して薬も出しておきますから安心してください」
貴方「えっ、検査とかしないのですか?」
医師「うちは名医ですから全て任せて貰えば良いんです」
帰りはドッサリ投薬を出され「お会計は3万円です」この医者は信用できますか?

「例2」家の新築で

長年の夢だった自宅を新築しようとパンフレットを見てると『新築注文住宅800万円!』の文字を見て依頼すると、多少追加はありますが何処も一緒なので問題ありません。と言われ良く名前を見る大きな会社だから安心できると依頼した。

契約書を作り頭金を支払った後で、土地が、、屋根が、、部屋の壁が、、などの変更、変更があり、中には「このほうが良いから変更しておきました」と言われたが完成した請求書を見ると3倍の2,400万円となっておりサービスだと思ってた追加もしっかり加算してある。

毎月4万円の返済計画が12万円となり、最初に見た800万円は何だったの? こんな現実を経験した方もおられるはず、信用うんぬんより自身の軽率さに問題があると思えませんか?

今の葬儀業界も同様です

欠陥けっかんプラン(最低限に抑えたプラン)
直葬プラン80,000円(税別)と表示してあるが、安置は別途、ドライアイス別途など絶対に必要な項目すら入っておらず、追加必須で最低限どころか嘘つきプラン。

「アップグレードプラン」
必要な内容はとりあえず揃ってはいるが、安置1日、ドライアイス1日、棺、搬送10kmまで含む等の記載であれば、これも追加は確実なプランとなる。
① 死亡時刻より24時間以内の火葬は禁止、故に安置48時間は必須条件
② ①で分かるようにドライアイスも48時間安置に問題ない量が必須
③ 搬送距離とは「車庫」→「病院」→「安置所」までの合計距離10kmは殆ど追加確定
④ 含まれるのは50年前主流の「平棺」今は「山型ふた付布棺」が主流のため追加させられる

その他にも追加、加算、アップグレードさせる葬儀屋はとにかく多いのが実態、僕の人生で当たり前のように人を騙し、騙してる自覚すら無い業界は他に経験がありません。

貧乏性なのでしょう

お金も含め物欲は少ない部類の人間で、金に糸目をつけない性格でなく12年使用したパソコンが壊れる前にと¥135,000円のパソコン購入までに「欲しいスペック性能・仕様」「価格」「我慢できる点と譲れない点」など数か月掛けてじっくり検討して購入しました。

今の葬儀屋は希望は可能な限り何でも叶えます的な発想が強く、施設、祭壇、霊柩車、料理、スタッフ数など豪華を売りにした差別化を図ってるようですが、反面、費用面には触れない事から請求書を見て驚く家族も多いのが普通だけど家族も理解できません。

貧乏性かもしれませんが、明確な費用が分からない追加などありませんし、葬式の最大目的は豪華でなく『温かく送る』『残る家族の生活が守れる』ことが信条ですから、何も知らない家族に実現する自信はありませんので当方理念も伝えおく必要があります。

事前相談の流れ(簡易版)

「0」以下の流れの中で家族との距離感を縮める事が最重要課題
「1」菩提寺と寺墓の有無を確認します
「2」あんしんサポート理念と非対象者の確認
「3」故人への思いと家族の希望や財布事情の確認
「4」希望にあったプランと料金説明
「5」生前しかできない諸々を伝える
「6」家族毎の死後手続き簡略説明
「7」逝去時の流れの説明
「8」入会手続き(要¥3,000)

以上が事前相談で行う最低限の項目『距離感を縮める事が最重要課題』なのは、逝去時に財布事情が変更してる場合でも「お金がない」と言える関係を構築しておければ、家族は不安を持たず安心して過ごせるからですが、話術も必要なので簡単な事ではありません。

「こんにちは、初めまして」から始まり最初の10分~15分が勝負、その段階で笑顔に出来なければ距離感は短縮できません。僕にもしもの事があった場合を想定する際、千明が最も不安に感じるのが今回の内容、会員さんとの距離感――、自分にはできないと言います。

だから斎場担当者から「あんしんさんの葬式は家族の笑顔も多く距離感の近さを感じます」と言って貰える葬式になるわけで、それだけ家族も打ち解けてくれてるのは事前相談で2時間を使った効果、逝去後に初めて逢う家族ではそうはいきません。

想定すれば理解できるはず

パンフレットをしっかり見れば使用品は写真掲載、料金は明示、追加発生条件と費用も全て明示してあり誰が見ても分かる記載方法を採用してるだけの事、それをしない葬儀屋は明確になっては困るからなので不明確な記載の葬儀屋は信頼できないと分かります。

パンフレットや書面だけでも分かり、尚且つ話の中でも明言、更に搬送した時点で最終支払い額も提示するのは、家族に余分な神経を使わせず『温かく送る事に集中して欲しい』からです。

搬送後の打ち合わせも実際は2時間ほど要しますが、大半は「死後手続きの具体的な話」をするからで我々よりも家族のほうが真剣、死後手続きアドバイスは全て無料なので売り上げにも利益にも貢献しませんが、家族にとっては何より大事な話題のひとつです。

突然依頼できる家族の神経は理解不能

施行する側の僕でさえこれだけ考えるのに、当事者の家族が事前に何も考えず、突然の電話で葬式依頼できる神経はどう考えても理解不能です。

上記に書いた病院・新築は勿論、自動車購入、パソコン購入など数十万円以上の買い物を衝動買いしても問題無い生活水準なのでしょうか?

逆を言えば何も分からない家族の依頼でも平気で受ける葬儀屋の神経も理解不能、どんな依頼者でも満足させられるという事なのでしょうか? でも僕の知る限り、僕より担当数・スキル・諸知識も少ない葬儀屋が圧倒的多数だと思うのですが、、、、

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